先日のMOK Radioの件

昨日のラジオのリスナー数は400人強。普段MOK聴いてない方もたくさん聴いていただいたようで、ネットの反応も様々だ。一応やった方としては説明をした方がいいだろうし、世間では俺ははてなダイヤラーとして認知されていないのでid:ozricさんと早く呼ばれるべく、mixiに書いた日記をこっちにも改編転載しようと思う。

おもしろかったという意見は、まあ大抵おもしろかった以上の意見というのは存在しないので否定的、もしくはそれに近くて興味深い意見をコレクトした。
http://d.hatena.ne.jp/kowagari/20050507/1115433959
http://d.hatena.ne.jp/phage/20050507
http://d.hatena.ne.jp/acidManso/20050507/p1
http://d.hatena.ne.jp/screammachine/20050507#p1
http://d.hatena.ne.jp/fara/20050507#p2

話題が散乱してしまったり、馴れ合い批判してながら馴れ合いしてるじゃんみたいな突っ込み。まぁそりゃ当然のことだろう。否定しないし、音割れに関してはもうちょっと気を遣っても良かった。コンプレッサーでも買うか。

さて、いただいた批判はまぁその通りだなぁと思うけど、俺は結局このラジオの名前を「MOK Radio G.W.SPECIAL」にした時点である種こうなることが分かっていたというか、しゃーないなという部分はある。ばるぼらさん、吉田アミid:amiyoshida)さん、モーリ(id:mohri)さん、さやわかさんを迎えて真面目にネット論を3時間語ってもいいが、それは果たして深夜のネットラジオでやるべきものかという問題があるし、作られる場の空気的にそういう方向で行くのが正しいのかどうかという疑問もある。

わかりやすくいえば、今回のラジオはMOK Radioの文法の中で、ばるぼらさん、吉田さん、モーリさん、さやわかさんと楽しく話す、ということがラジオの主目的だった。でもそれって、あらかじめ告知するようなものじゃないじゃん。そりゃ普段MOK聞いてなかったり、MOK的なノリがあんまり好きじゃない人にはコンテンツとして物足りなく映るだろう。ただ、まさにちょっと前に「あらかじめ告知するようなものじゃないじゃん」と書いたが反省している点もある。元々告知の段階でばるぼらさんにユリイカ関連とかの真面目な話はあまりしたくないという意向があったので、それをストレートに事前に伝えた方が良かったのかもしれない。つまり、告知段階で変な煽りを入れず「真面目な話は一切しません! 馬鹿トークオンリーの3時間なので、ユリイカ的な話を期待している人は聴かない方が無難です」くらいのことを言っていた方が良かったのかもしれない、ということだ。しかし、それでもばるぼらさんは基本的に人が良いので、僕らがちょっと真面目な話を振ればそれはそれでそれなりに答えてくれるだろうということも分かっていたので、告知の段階から真面目な話は一切なし、とするのも憚られたという部分はある。正直なところ、そういう期待を裏切ることが面白いみたいな部分が俺にないわけでもないので、告知をどうすれば良かったのかという部分に関してはフィフティー・フィフティーで結論が出ない。が、終わってしまったことなので後悔してもしゃーない。いずれにせよ、リスナーが番組に対して事前にあらかじめラベルを貼って勝手に期待して失望するという構図はMOK初期にも近いことがあったので、ちょっとした既視感に襲われた。失望した皆さんにはごめんなさいというほかないんだけど、知るかボケ! という部分がないわけでもない。

話を戻すが、みんながリラックスして馬鹿話をする(そしてその中にたまにはマジ話も入る)のが楽しかったから、MOK Radioは今まで続いてきたわけだ。少なくともゲストの人がストレスを感じて帰るみたいなことは(今回は特に)やりたくなかったかな。

じゃあ、それをネット配信する意味はということだが、そんなのはリスナーが判断すればいいことなんだと思う。つまらなくて1時間40分しか聞かないでラジオを切ったid:kowagariさんの判断は正しいし、最後まで聞いて「物足りない」と感じるid:phageさんの感想も正しい。というより、400人聴いているネットラジオで全員を満足させることは最初から不可能だ。その中でどうやって最大公約数的に満足できるようなラジオを作っていくか、ということなんだろう。5時間やった中でちょっとでも満足できることが聴けたからそれでいいやという人もいるだろうし、「自分で考えるきっかけを作ってくれた、ありがとう」という人もいるだろう。はたまた全部が全部中途半端なところで話が止まっちゃって消化不良しか感じなかったという感想を持つ人がいたっていい。

その意味でid:kowagariさんの以下の指摘は端的に「答え」を出していると思う。

別にしゃっちょこばった堅苦しい話が聞きたかったわけでは全くないのだけど、すごいメンツ(実際すごいと思いますほんと)が集まったその高揚感に溺れて、コミュニケーションに溺れて、ジャーゴンに溺れて、飲み会の与太話に溺れて、面白いことを言わなきゃっていう空気に溺れて、ごぼごぼごぼごぼごぼ……。ユリイカトークショー再来。

1つ重要なこととして、テラヤマさんはユリイカトークショーに来ていない。たぶん、来てたのならこういう発言にはならないのでは。ユリイカトークショーと昨日のMOKには「そこに『リラックス』があったかどうか」という決定的な違いがあった。まぁリラックス=グダグダと捉えられても仕方はないと思うけど、ユリイカトークショーのグダグダとは種類が違ったとは思う。いや同じなのかなー。同じかもしれないが、違うと思いたい。まーいーや。つーかそんなの定義の仕方によっていくらでも同じにもできるし、違うものにもできるもんね。ともかく、やってる本人たちがそれ(高揚感に突き動かされた無指向性トーク)を希望していたわけだから仕方ないというか。集まったその高揚感に溺れて何が悪いんだと思う。溺れてナンボというか、むしろ溺れたいからゲストにオファーしているのだと俺は思う。

ただし、

これはネットラジオっていう媒体にだけ現れてしまうもので、 全部ラジオのせいだと俺は思いたい。面白いなーとか、尊敬できるなーとか思って読んでいたサイトの人たちを、なんだか大して面白くないって思わせてしまうネットラジオの魔力。あるいは単に人数が多すぎたからか。期待しすぎてたのかな、と思った。

ネットラジオという媒体だけに現れてしまうという指摘は重要だ。しかし、そこがネットラジオの良いところであり、悪いところでもある。そのあたりはid:screammachineさんがうまいこと解説してくれていると思うのでそちらを参照して欲しい。

多分ユリイカトークショーなんかもそうだったんだけど、結局のところ問題の根幹は「仕切り」の問題に行き着くのではないか。テラヤマさんがあの場にいて、司会をやってくれて、つまらない発言、腰を折る発言をシャットアウトできる権限があって、話を膨らませていける立場があれば、彼にとって(そしてある種真面目なブログ論、ネット論を期待している人にとって)満足のいくラジオは作れたはずだ。しかし、残念なことにMOKの3人はそこまでの度量がなかったというか、パーソナリティー的にキャラじゃないというか、単なる酔っぱらいだったというか。

ただね。それはMOK Radioでやるんじゃなくて、他の人がやってくれればいいんだよ、と思う(真面目に語るふりをした告知は悪かったけどさ!)。もっと言えば、それは必ずしもネットラジオという形態じゃなくても構わないだろう。

いみじくも最後にさやわかさんとばるぼらさんが「ニーツはニーツ。MOKはMOKで違う」と発言していたが、多分そういうことだ。同じゲスト呼んでも全然質は違うものになる。MOKラジオには多分にクネクネが含まれているし、内容のないくだらないトークも多い(というかほとんどだ)。でも、正直なところリスナーが常時200人を超えるようになってから、総体としての「リスナー」を向くことができなくなったということは感じる。昨日のラジオで俺が「早くリスナーを1000人にしたい」と発言したのはそういう意味も含まれている。多分俺はまだ「すべての人を満足させなきゃ」という幻想に囚われているのだ。早くそこから解放されたいと思う。

でも、5時間聴いた中で多少でも興味深い箇所があれば、よけいな部分があってもそれはそれで聴いた人には価値があったんじゃないかと思うのですよ。だからid:acidMansoさんは

何やら当人達にとっては実に愉快らしい話題で盛り上がり,リスナーはスピーカの前で,おおきな「?」をいくつも頭の周りに浮かべているというのが,一番オモシロクナイ,ネットラジオのリスニングパターンなのですが,昨日のラジオはまさにそれを地でいっていました.ただ,話全体の2割くらいの内容は,たぶんあすこでしか聞けなかったであろうレアー情報だったので(わたしにとって),それはそれでよかったのでしょうが

と書いているけど、2割も役に立つレア情報があって有用だったのなら、それは俺らからしてみれば「大成功」なんだよね。役に立つ面白い情報が0割だった人についてはつまらないラジオ聴かせてしまってスマン。が、そんなつまらないラジオを聴く「自由」もあなたには保証されているのだ。それがインターネットだ。

俺は昨日のラジオが「コンテンツ」として「最高だった!」とも思わないし、逆に「最低だった!」とも思わない。いろいろなことも含めて、今後の糧にできればとは思う。でも1つ言えることは、少なくとも放送中はとても楽しかったということだ。モチベーションとして、やってる本人が楽しい(そしてMOK Radioは36回やって、まだきちんとそれを維持できているということは素晴らしいと思う)ということはコンテンツを作る上で一番重要なことだ。ものを作る上でのモチベーションって「楽しさ」か「義務感」か「お金」以外にはないからね。MOK、そしてradio.gsは最後まで「楽しさ」を貫きたいとも思ってる。

結局、続けることしかないんだろうね。続けることでちょっとずつ良くしていくしかないと思うよ。少なくとも楽しめるうちは。

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(追記)
id:millicentさんの↓の感想はうれしかった。
http://d.hatena.ne.jp/millicent/20050508

id:kowagariさんも2時以降を聴いてくださったようでありがたい。

ラジオでは聞き損ねたのだが、「単体のコンテンツ」と「連続して楽しむことによって意味が出てくるコンテンツ」について、突っ込んだ話をすれば良かったのかなーとは思う。

聴かないでなんか便乗的に文句言ってるヤツは知らん! 俺はそういうヤツとは友達になりたくない。